ダイヤモンド・ヒーロー




湊人の去年の悔しそうなあの表情が頭に浮かんだ。


唇を噛み締めて、強く握りしめた拳。


テレビから見ていたけど……。 あたしだって、わかった。

湊人が悔しかったように、あたしも悔しかった。

悔しくて、悔しくて…… 涙が頬を伝ったんだ。



「湊人―――」


「…… 大丈夫。 咲良が信じないで誰が湊人くんを信じるの?」


「春香……」


強く握りしめた拳を春香が優しく包み込んでくれた。


そうだ、あたしが湊人を信じないといけない。

今の湊人は…… 絶対に“甲子園”を諦めていない。

湊人が諦めない限り、あたしも諦めない。




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