ダイヤモンド・ヒーロー

野球の女神





つい本音がこぼれ落ちた。


みんなで野球を続けたい気持ちは、誰だって同じだ。

俺だけで無く、大も監督も同じだ。

このメンバーで、一回でも多く試合をやりたい―――。



目の前の三嶋からあと一つアウトを取っても、延長戦が待ち受けている。

力は互角な俺たちだが、チームワークだけは絶対負けない。


だから、悪いな…… 三嶋。

俺がここで、お前をアウトにしなかったらお前は絶対“ホームラン”を打つ気がする。

お前にホームランなんて、打たれたら……。 俺たちの負けが決まっちまう。

同時に、俺たちの夏が終わる。


夏が終わるには、まだ早い。


目を開き、腕を構えた。




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