ダイヤモンド・ヒーロー
“湊人が甲子園のダイヤモンドの上に立つ姿が見たい―――”
なんて、言ったこと。 今日の試合を見たら、昨日の事のように思い出した。
湊人の野球する姿。
真剣なその表情。
全てが光、輝いていた―――。
毎年、予選大会はテレビの前で“野球の神様”にお願いをしていた。
“湊人を甲子園に連れていってください―――”
こんなこと…… 湊人に言ったら笑われるかな?
湊人はあたしをバカにするからな……。
“――― 咲良、バカじゃねーの”
“――― ひっどーいっっ! あたしだって、真剣にやっているんですー!”
周りからは“またやっている”とか、呆れたような視線を受けていたっけ?
こんな騒がしいカップルだったから、あたしたちは全校生徒公認カップルだった。