ダイヤモンド・ヒーロー
「毎年咲良を探していたんだ―――」
…… 知らないよ。 そんなの。
てか、試合中に何をやっているの!
「人が多くて、見つけることは出来なかったけどな」
湊人が前髪をかきあげて、笑った。
「でも、今日はわかった―――」
湊人の力強い声。 その声につられように、あたしは視線を上げた。
「"咲良が球場にいる―――” なんだか、今日はそう確信した」
湊人はまだ、ユニフォーム姿。
所々、砂で黒くなっているユニフォームは、今日の試合の“証し”でもある。
「咲良―――」
湊人の手が、ゆっくりあたしに伸びる。