ダイヤモンド・ヒーロー
優しく、体が包み込まれた―――。
湊人の懐かしい胸に、体を預けそうになった…… が、腕を突っ張る。
「…… ダメッ」
「咲良?」
「あたし、湊人の彼女じゃないし……」
抱きしめられる、資格は無い。
湊人には、嫌われて当然のようなことをしたんだから……。
「あぁ、あれか……」
“だったら……”そう言葉を続けて、湊人が腕に力を加えて、あたしを抱きしめた。
「よーく聞いとけよ、咲良」
汗の臭いが鼻掠める。
「チョッ、湊人」
逃げたくても、逃げられない湊人の腕のなかに、あたしは大人しく収まっている。
「咲良にフラれようが、何しようが…… 俺の気持ちは変わらねーよ」