ダイヤモンド・ヒーロー
図書館のドアを開けた。
窓際の一番奥。 よく知った後ろ姿を確認する。
「ちゃんと勉強してたか?」
「――― ッッ! 湊人っ」
バーカッ、ここは“図書館”だっての。 そんな大声を出すなよ。 周りから変な目で見られるだろ?
「びっくりしたー」
ん? よーく見ると、頬には赤い線が一本入っている。
「寝てただろ?」
「えっ……。 寝てないよっ」
嘘つきな奴。 まぁ、いいか。 疲れていたんだろう。
「これから練習だけど…… どうする? 待っているか?」
「うん、待っている。 頑張ってね、湊人―――」
「じゃあ、終わったら連絡するから。 行ってくる――― 咲良」
咲良の頭を一撫でして、俺は“ダイヤモンド”に向けて、足を進めた。