ダイヤモンド・ヒーロー
「ほら、貸してみろよ」
あーあ、俺は何やっているんだよ。
せっかく練習だっていつもより早く終わったって言うのによ。
こんな事をしているヒマがあったら早く帰ればいいのに。
「相原くんって器用なんだね」
美山が感心したように俺を見る。
ガタガダとミシンを動かしていく。
「うわー、あっと言う間に終わった」
俺に変わって数十分。
美山が感嘆した声が上がった。
ほとんどは美山が進めてあったので、俺は残った部分をやって。
あとは返し縫いとかやったくらいだ。
「相原くん、手伝ってくれてありがとう」
エプロンを胸に抱きしめ、美山が笑う。
――― ドキッ。
胸が鳴る。
なんだ、この感覚。