ダイヤモンド・ヒーロー
「練習って毎日やっているの?」
「夏休み中はほとんど毎日だな」
クラスだって違うのに、どうして俺は美山とこんなに仲良く話しているんだ?
こんなに仲良くする必要は無いはずなんだけどな。
「野球のマウンドって…… “ダイヤモンド”に見えないか?」
「ダイヤモンド?」
俺にはマウンドがダイヤモンドに見える。
上からじゃないとわからないが……。 エプロンをサボっていた美山ならわかるんじゃないか?
「えーっ、わからないよ」
…… やっぱり分からないか。
でも、俺にはダイヤモンドに見える。
キラキラ輝く宝石の上で、俺はボールを投げるんだ。
「なんか……」
美山が指先を合わせ、アゴに置いた。
「相原くんって、野球について話す時って、楽しそうだね」
美山がそう言って笑った。