ダイヤモンド・ヒーロー
「湊人……。 別れよう」
「……」
あたしたちはここで終わり。
もう、会うことは無い。
「夢のために…… 将来のために、頑張って―――」
あぁ、目頭が熱くなる。
ギュッと、強く唇を噛む。
湊人と繋がっている手を、ハラリと放した。
太くて大きな湊人の手が大好き。
「なぁ、咲良。 咲良の夢って、何?」
「あたしの、夢?」
あたしの、夢でしよ。
湊人は知らないと思うけど。
気がついたら、あたしの夢は。
「甲子園のダイヤモンドで投げる湊人を見ること―――」
「――― !!!」
…… 知らなかったみたいだね。
あたしだって、自分がこんな事を思うだなんて思ってもいなかった。
でも、これがあたしの夢なの。