ダイヤモンド・ヒーロー
さよなら、大好きな人
本当に、湊人が言ったように野球のマウンドは“ダイヤモンド”のようだった。
でも、その“ダイヤモンド”がいくら美しい輝きを放っていても。
――― 湊人が、一番輝いていた。
「これからも、頑張ってね」
ダイヤモンドの上で、輝き続けて―――。
「応援、しているからね」
ずっと、湊人を見守っているから―――。
「バイバイ」
さよなら、大好きな湊人―――。
ダメだな……。
今日は泣かないって決めていたのに、どんどん涙が溢れてきそう。
グッと唇を噛み締める。
泣いちゃダメ。 泣かないって決めたんだから。
「咲良―――」
湊人が優しくあたしの名前を呼んだ。