ダイヤモンド・ヒーロー
こうやって名前を呼ばれるのもあと数回。
声変わりをして、ちょっと低い声で“――― 咲良”
そうやってずっと呼んで欲しい。
「咲良の夢……。 叶えるから―――」
「うんっ」
「俺、頑張るから―――」
首を縦に振る。
うん、うん……。
もう、声を出したら涙が溢れてしまいそう。
今、ここで泣くわけにはいかないんだから。
「だから……」
お願い、湊人。
もう、何も話さないで―――。
湊人の隣にいるだけで、あたし――― 離れる事が出来なくなりそう。
「甲子園のマウンド…… ダイヤモンドの上で、投げるから」
いつまでも、光り輝くダイヤモンドの上で投げつづけて。
「――― 約束、だよ」