ダイヤモンド・ヒーロー
誰よりも、カッコイイ湊人でいてね。
「あぁ、約束する」
また、大きい風が吹く。
もう、これでお別れ。
あたしはこの風に背中を押されて一歩、歩みだす。
「じゃあ…… あたし、帰るね」
あたしたちは別れたんだ。
もう、湊人に送って貰う必要が無い。
「湊人―――」
もう、湊人の名前を呼ぶのはこれで最後。
「湊人――― バイバイ」
「あぁ、じゃあな」
カバンを強く握り締め、足早に歩みを進める。
「――― 咲良ッッ」
突然、名前を呼ばれたので振り返った。
「俺、咲良が居てくれたから頑張れた。
咲良が居なかったら、甲子園なんて夢。 夢だけにしそうだった。
――― ありがとう」