ダイヤモンド・ヒーロー
力強く握り締めている右手を緩める。
俺の手から現れたのは―――。
【ガンバレ】
不器用なクセに、中学生の時―――。
咲良が俺に作ってくれたお守り。
もう3年も前になるけど、咲良との…… 大切な思い出の一つ。
毎年毎年、野球部のマネージャーが名前と背番号入りの“お守り”を作ってくれるが。
不器用な咲良の作ってくれたこの“お守り”が、一番俺に力をくれる。
プリクラだって、写真だって。 咲良との思い出の品は、今だって一つずつ残っている。
でも……。 この“お守り”が一番大切なんだ―――。
たとえ――― 咲良が。
俺の試合を見ていなくても。
傍にいなくても。
お守りがあるだけで、俺が一番強い俺で居られるんだ。