ダイヤモンド・ヒーロー
「ちょっとこっちに来いっ」
ベンチの端に呼ばれた。
「なあ、湊人……。 今日の試合で投げてみないか?」
「――― !!!」
それは、思ってもいなかったチャンスが俺に舞い降りてきた。
まさか……。 俺がこの一戦で試合に出してもらえるなんて思っていなかった。
こんな興奮する試合。 誰だって試合に出たいと思う。
俺だって…… その一人だ。
「どうだ……。 やってみないか」
もし……。
俺がこの試合で投げて、甲子園に出場できたら……。
咲良との“約束”を守ったことになる。
「キャンプ……。 投げさせて下さい」
一日でも早く……。 咲良との約束を守りたかったんだ―――。