ダイヤモンド・ヒーロー
“サクラ”と“咲良”
――― 3年生。
「気を付けー、礼ッッ」
「「ありがとうございましたー」」
空が黒く覆われ初め、一番星が輝いている。
ライトが当たりグランドを囲む様に咲く“サクラ”がほのかに光輝いている。
「湊人ー、部室に戻らないのかー」
「あぁ、戻る」
今日も1日が終わった。
グラウンドの整備が終わり、部員たちが部室に戻り始めている。
そんな中…… 俺は誰もいなくなったマウンドを眺める。
このマウンドで走り…… 投げ続けて、3年が経った。
今年が、ラストチャンス…… なんだよな。
“甲子園”を目指してもう3年か。
毎年予選大会 決勝で負けてしまう。
今年こそは……。
「甲子園、目指すんだろ?」
「大(ダイ)か……」
杉本 大(スギモト・ダイ)が後ろに立っていた。