ダイヤモンド・ヒーロー
マネージャー
監督とも話し終わり、練習に戻る。
制服なので、一度部室にいって着替えなくてはいけない。
吹奏楽部の音色が響く廊下を歩いて、部室のドアを開けた。
「おっ、マネージャー! 今年もご苦労さん」
「相原先輩!」
部室には2年のマネージャー。
市川 あゆみ(イチカワ・アユミ)がいた。
机に折り紙を並べているので…… どうやら予選大会に向けて“千羽鶴”を折っているようだ。
毎年、予選大会の前には部員一人ずつ一羽は鶴を折るようにしている。
自分の“願い”を込めて、一羽は折っている。
「相原先輩は、今年は鶴になんて書いたんですか?」
市川が鶴を折る手を休めて俺を見る。
鶴への願い―――。
そんなの……。
この3年間、一度も変わらなかった俺の“願い”
「市川には教えねーよっ」