ダイヤモンド・ヒーロー

マネージャー





監督とも話し終わり、練習に戻る。

制服なので、一度部室にいって着替えなくてはいけない。


吹奏楽部の音色が響く廊下を歩いて、部室のドアを開けた。



「おっ、マネージャー! 今年もご苦労さん」


「相原先輩!」


部室には2年のマネージャー。

市川 あゆみ(イチカワ・アユミ)がいた。


机に折り紙を並べているので…… どうやら予選大会に向けて“千羽鶴”を折っているようだ。


毎年、予選大会の前には部員一人ずつ一羽は鶴を折るようにしている。

自分の“願い”を込めて、一羽は折っている。



「相原先輩は、今年は鶴になんて書いたんですか?」


市川が鶴を折る手を休めて俺を見る。


鶴への願い―――。


そんなの……。

この3年間、一度も変わらなかった俺の“願い”


「市川には教えねーよっ」




< 73 / 200 >

この作品をシェア

pagetop