甘く深くささやいて!!
出会い
気分の悪い挨拶を避け、いつもの窓際の席に座る
「ねぇ、知ってる?転校生が来るらしいよ!!」
私に話し掛けてきたのは、唯一の友人、朝河 成実だ
誰にでも同じ態度で接し、前向きな彼女が、
私が学校に来る大きな理由だった、
きっと彼女がいなければ
私はこの席にすら座っていなかったと思う
「ヘー、そうなんだ」
「…って反応うっすいわねぇー、そこは『キャーッ男の子かな?女の子かな!!』でしょ!!」
「えー…」
そう言われても、
興味がないものはないから仕方がない
…どうせ、その他大勢と同じ反応するだけだし
「あっ、立花、その転校生ね「オラ、席につけ、小娘共ーー」
成美の発言が担任によってかき消された、
ちぇ、と言いながらもきちんと席につく成美につい小さく笑ってしまう
成美はこの担任、西尾が好きらしい、
私もちゃらんぽらんしながらもきちんと生徒に向き合うこの人を、
人として、教師として信用していた
「おしっ、少なからず静かになったな…
よーし、そんじゃまぁ、入って来なさい」
西尾先生に続いてもう1人、青年がカラカラと扉を音を立てながら入ってきた