キミの心の声を聞かせて

「なんで…そんな事いえるのよ…なんで…」


こらきれなくなった涙が、止めどなく次々と床を濡らした。


ポトリポトリと落ち続ける涙を拭く事も忘れて


あたしは、ただ…下を向いて泣きじゃくった。



「なんで…ヒック…なんでそんな事が…ヒック…言えるのよ…？」



「だから。何度も言ったろ？俺は、お前の仲間だって」



そう言って笑った先輩の笑顔が、涙で霞んでぼやけて見えた。



「なっ。ヨッシーとシュンも、お前の仲間だ」



「えっ…？」



先輩の言葉に、涙を拭きながらヨッシーとシュンの顔を見た。



ヨッシーは、黙って腕を組んで「仕方ないな」と軽く微笑んでいるように見えた。


シュンは「いい声してるし。いいんじゃね」と、口角を少し上げて微笑んでいるように見えた。




「よし。じゃあ、決まりだ。智樺、お前はきょうから、正式にうちのバンドのメンバーだ」


もうイヤとは言わせないからなとニカッと笑う先輩に


あたしは、手の甲で涙を拭きながら


「分かったよ」と呟いた。