キミの心の声を聞かせて

「じゃあ、帰るか」

そう言って笑う雄大に、つられてあたしも「うん」笑顔で言った。


軽音の練習を始めるようになってから


雄大先輩と一緒に帰るようになった。

「膝、まだ痛むか?」

心配そうに聞いてきた。まだ気にしてるんだ。あたしが呼び出された事。

「うぅん。もう大丈夫だよ」


だからさ、そんなに優しくしないで。なんでか知らないけど、そんな優しくされたら、なんか辛い…。

「そっかぁ、良かった。ごめんな、怖い思いさせて」

「いいよ。あたし、あぁいうの慣れてるし」

あたしと雄大先輩の関係はあくまで同じ部活の先輩と後輩の関係でしかない。


それ以上の関係はないのだから。

必要以上に甘えたらいけないんだ…。


「ねぇ、雄大先輩」


「なに?」


すっかり薄暗くなった空を見上げながら

少し距離を空けて歩く先輩の横顔をチラッと見ながら思っていた事を口にした。


「先輩、彼女いないの?」


これだけイケメンだし。性格だって…いいと思うからモテてるはずなのに。


彼女がいてもおかしくはないだろうに。



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