キミの心の声を聞かせて


「智樺ぁ、帰るぞぉ!」

バンドの練習が終わって、いつの間にか部室に2人だけになったあたし達。


「あれ、恭子さんは?」


なんて、なんともない表情で聞くあたし。

自分で自分が嫌になるけど


雄大先輩との今の関係を壊さない為には、なんだってするよ。

嘘だって。何百回もついてあげる。



「恭子さんは帰ったよ。彼氏とデートなんだって」


「へっ…?」


彼氏…いたんだ。


「いいの?」


「なにが?」ってキョトンとした表情で聞く雄大。


だけど、あたしは見逃さなかった。


その瞳の奥が悲しみで震えていることに。




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