キミの心の声を聞かせて
ハァ…ハァ…と無我夢中で走った。
早く雄大先輩から遠くへ逃げたくて、とにかく走った。
いつの間にか降り出した雨が、体だけじゃなく、心まで冷たく濡らしていく
絶対見られた…。
泣くつもりなんてなかったのに…。
雄大先輩、絶対変に思ったよね?
最悪だよ…雄大先輩の前で泣くつもりなんてなかったのに…。
立ち止まり制服の胸元をギュッと掴んだ。
苦しい…。
苦しいよ…。
誰かを好きになることが、こんなに苦しいことなんて初めて知ったよ。
やっと気づいたのに。
雄大先輩が好きだって…気づいたのに…。
雄大先輩には好きな人がいるんだ。
あんなに綺麗な人にかなうことなんてできない。
先輩にとって、あたしは単なる後輩でしかないんだから
誰もいない路地裏に隠れて、雨に打たれながら今も止めどなく流れ落ちる涙が枯れるまで泣き続けた。