キミの心の声を聞かせて

そう決めたこの日の夜。

突然降り出した雨を自分の部屋の窓からボーと眺めた。


降りしきる雨に誘われるように溢れ出した涙は、止まる術を知らなくて


嗚咽混じりの泣き声は、窓を開けて響く雨音にかき消された。


この雨がやむころには、きっと笑顔のあたしでいられますように。


雄大先輩の前でも泣かない、あたしでいられますように。



今だけは、泣いていいよね?




今だけは…。




次の日の朝、窓を開けて外を眺めたら

雲の間から太陽の光が溢れていて


それは綺麗な天使の梯子でした。



「うん。大丈夫。笑えるよ、あたし」



天使の梯子の光を、手を翳して眺めながら



あたしの決意は固く揺るがないものになっていった。




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