キミの心の声を聞かせて
この日の夜。
明日のライブの事を考えると、緊張して寝付けなくて
窓からボーと夜空を眺めた。
夜空には新月に向けて欠けていく月がポーと薄暗い明かりを帯びて浮かんでいた。
明日はライブ。
きっと大勢の人が来るのだろう。
あたしはちゃんと歌えるのだろうか?
不安は募るばかりで、ため息ばかりが増えている。
そんな時ーーー
突然、机の上に置いていた携帯の着信音が静かな部屋に鳴り響いた。
手を伸ばして見ると、そこには
【高村雄大だよ♪】の文字。
雄大…。名前を見ただけでも切なくなる。
それでも、そんな素振りは感じさせないように
「もしもし。どうしたの?こんな時間に」
なんでもないですよって平気なフリをするんだ。