キミの心の声を聞かせて
『おっ、意外と元気じゃん。緊張で“どうしよう”ってなってるかと思ってた』
明るく笑いながら話す声。この声が聞けたら、それで何もいらないって思っちゃうんだよね…。
「なってたよう。“どうしよう”って。ライブなんて始めてだし」
『そっかぁ。まぁ、気軽にいこう。なっ?』
「うん…」
『まぁ、あんま深く考えるな。それに、明日は、ある意味ホントの智樺じゃない姿でステージに上がることになったからさ』
なんだか楽しそうな声。なに?ホントのあたしじゃないって。
「それって、変装とかするの?」
『おっ!カンいいな!』
「だってそれしかないじゃん」
『そうだな。まぁ、どんな変装かは、明日のお楽しみってヤツだ。』
とにかく明日に備えて早く寝れよと、まるで父親みたいな言葉を言って雄大からの電話は切れた。
あたしはギュッと携帯を握りしめて、ベッドにゆっくり横になると、雄大の声を思い出しながら
いつの間にか、深い眠りに墜ちていった。