キミの心の声を聞かせて
「智樺、お前は頑張ってきたんだ。余計な事は考えるな!目の前の俺達の事を信じろ」
不意に抱きしめられて言われた大好きな君からの言葉は力強く。
「心から楽しんでこう!!」
あたしを取り囲むように作られた円陣の中心で、みんながくれたパワーを感じたまま
「「ワァーーー!!」」
ザワツク観客達が待つステージへと向かった。
あたしは、もう、あの頃の自分じゃない。
「智樺、心で音を感じろ!!みんなを驚かせてやれ!!」
通りすぎる時に投げかけられた、大好きな君の言葉が、あたしに、また力をくれるんだ。
バクバクと激しく波打つ鼓動。俯きながら目の前のマイクスタンドを握りしめて瞼を閉じた。
「大丈夫!!やれる!!自分を信じるんだ!!」
心の中で叫んで、深呼吸してゆっくりと瞼を開けた。
「いくぞぅ!!1・2・3♪♪」
大好きな君の声と、ドラム音が観客達で埋め尽くされた体育館に響き渡る。
仲間達が奏でるギターとキーボードの音色が、あたしに勇気をくれる。
みんな……あたしの歌を聞いて!!
あたしは、もう、あの頃のあたしじゃない。
あの頃のーーーーーあたしじゃないんだ!!ーーーーー