キミの心の声を聞かせて
第六章
いじめの理由
「んじゃ、帰るか?」
「うん。帰ろう」
花火が空に儚く散った後、来た道を戻り再び祭りで賑わう人混みの中に向かっていた時。
雄大のポッケから、軽快な着信音が鳴り響いた。
「雄大、携帯鳴ってるよ」
「へ?あ、マジで」
おもむろに、ポッケから携帯を取り出しボタンを押して電話に出る雄大。
誰からだろう?
なんてことを気にしていたら
「なに?ヨッシー」
電話の相手がヨッシーだと分かり、ホッとするこの心。
まだ完全に妹になりきれてないなぁ…
1人で「まだまだだなぁ…」なんてブツブツ呟いていたら
「智樺!智樺!お前聞いてんの!」
「へっ?ごめん。聞いてなかった。なに?」
「だから、ヨッシーが、さっきの男捕まえたって」
さっきの男って…
「植松のこと!?」
多分きっとなと話す雄大の口から聞こえてきた言葉に、あたしはギュッと握り拳を握りしめた。