キミの心の声を聞かせて
「なに?」

とっさに彼女に目に見えない壁を作り。平静を装った顔で返事をした。


そうしたのは、彼女の真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうで。

心を許してしまいそうだったから…。
「きょう、一緒に帰ろうよ」


「はぁ?」


きのう断ったのに。どうしてまた同じ事いうかな?


「きのう、あたし言ったよね?あたしは1人で帰るのが好きだって」

この子、本気で言ってんの?それともあたしをからかってるだけ?


変わらず無垢な笑顔であたしを真っ直ぐ見つめる仲本美紀。

彼女の視線が、あたしの心の奥を覗いているようで…。


あたしは、すぐに彼女から空に視線を移した。



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