キミの心の声を聞かせて
「うちさ、両親共働きでさ、小さい頃からなにかにつけて『勉強しなさい』って怒るばっかでさ。可愛がられた記憶とかないんだよね」
俯きながら、自分の事を話し始めた高津洋子。
「おまけに、すぐ下の妹と比べてばかりいるし」
そういえば、高津洋子には一個下の妹がいたっけ。
「妹の方が、あたしより頭いいし、可愛いから。親はあたしよりも妹を可愛いがってばかりでさ…」
そっかぁ。高津洋子は高津洋子なりに色々あったんだ。
「でさ、なんか…ムシャクシャしてさ…」
言葉に詰まり、なんて言ったらいいか分からない様子で視線がキョロキョロと泳いでる。
「…それで、あたしをいじめたの?」
瞬間、あたしの言葉を聞いた高津洋子の瞳が大きく見開かれて、ゆっくりとあたしを見ると
「うん…」とコクリと小さく頷いた。
「なんで…あたしだったの?」
「なんていうか…言いやすかったっていうかさ…」
それに、反応が正直だし、すぐムキになって面白かったと、クスっと思い出し笑いしながら話す高津洋子に
「ヒドすぎだよ」とむくれながら言うと
「そうすぐにムキになるからだよ」と、逆に笑われて言われた。