キミの心の声を聞かせて

「それって、どういう意味…ですか？」

不思議に思って聞くと「覚えてる？一度だけ智樺ちゃんを送らない日があったでしょう？」と聞かれた。


「はい。夏休み前のあの日ですね」


あの日…雄大が恭子さんと一緒に帰ってるの見てズキンと心が痛んだんだ。



「あの日ね、実は付き合ってた彼と別れたくて、雄大にね、彼氏のフリをしてもらったんだ」


と、エヘッと少しだけ舌を出してイタズラっぽく笑う恭子さん。


「えっ!?どうして？そんな事を？」


「その付き合ってた彼ね、独占的だけは強かったのよ」


だから、別れたくても、簡単に別れる事ができなくて。悩んだ挙げ句、雄大に相談したら「俺が彼氏のフリしてやるよ」って言ってくれたと。