キミの心の声を聞かせて

ーーースゥ…ハァ…なんだか、叫んだらスッキリしてきた。

やっぱり、ストレス溜まってたんだろうなぁ。


うん、たまにはこんな風に大声で叫ぶのもいいかも。


さてと…帰るか。



体を起こして、立ち上がり帰ろうとして、顔を上げたら…

う…そ……?ってか、いつの間に、いたのよ…?


なんで…?あたし1人じゃなかったの…?


信じられない想いで、目の前の光景を見つめた…。


だって…そこには…


「お前さぁ、いい声してるなぁ…名前なんていうの?」


少し長めのサラリとした前髪を風に靡かせながら近づいてくる


茶色で少し細めの瞳に整った顔で「カッコいい」とうちのクラスで騒がれている
人気の先輩だ…
名前は確か…



「ねぇ、聞いてんの?」


なんだか、偉そうな態度に頭にきた。

「人の名前聞く前に、自分の名前教えなさいって幼稚園で学びませんでしたか?」


真顔で言ったあたしに一瞬面食らった表情を見せた先輩は、次の瞬間、失礼なぐらい腹を抱えて笑いはじめた。


“失礼な人”


これが、この先輩。


高村雄大先輩に対する、あたしの第一印象だった。




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