キミの心の声を聞かせて

「俺さぁ、妹が死んだ時に、こんな世界なんかぶっ壊してやりたいって思ってたんだ」


「えっ…?雄大が?」


「あぁ…」


意外だよ。雄大にも、そんな暗闇に捕らわれた感情があったなんて。



「智樺の声を初めて聴いた時、俺な…自分の分身が叫んでるような気がしたんだ…」

「そうだったんだ…」

「あぁ…俺と同じように、苦しんでる奴がいたって…ずっと隠してたもう1人の自分と、死んだ妹を重ねて見ていた」


雄大は、まだ苦しんでいるんだ。救えなかった妹さんの事を考えながら、まだ苦しんでいるんだね。

チクンと、心が痛んだ。雄大には、簡単に消す事ができない心の闇が眠っている。


「あたしに、雄大の心の闇を照らす事ができるかな?」


雄大が、あたしにしてくれたように。


あたしも、雄大の心を照らし続けたい。




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