キミの心の声を聞かせて


「いってきます」

そう明るく言ったあたしの背中を「頑張っておいで!」と母が力強く叩いた。


「痛いよ!」文句を言うと「気合いが入っていいでしょう?愛よ、愛」そう言って明るく微笑んだ。


リビングからは「まぁ、頑張ってこい」と父の声が聞こえてきた。




何度か、父の事を嫌いになった事があったけど、不器用で愛情表現が下手な父の事を知る度に、嫌いになれない自分がいたりして。



父と母とあたし。この家族が、あたしは…好きだ。




「いってきます」と、もう一度言ってドアを開けたら太陽の光が飛び込んできて


眩しさを感じながら、逃げる事なく太陽の光の中に飛び込んで歩き出した。



もう、逃げたりしない。


そう心に決めたから。


あたしは、逃げない。





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