キミの心の声を聞かせて

「もう、いいです」

もう、携帯なんてどうでもいい。どうせ携帯の中のメモリーには、家と必要最低限の番号しか入ってないんだ。


先輩の横をサッサと立ち去ろうとしたら

「お前、なんかあったんじゃないのか?屋上で“消えろ”とか叫んでただろう?」

その言葉に、歩いていた足がピタリと立ち止まった。この人、どこから聞いてたのよ?


「別に…先輩には関係ないじゃないですか」


「そう?ならいいけど…。俺には、今のお前はポンと押したらガラガラと音を立てて崩れるように見えたからさ」


なんなのよ?この人。まるで何もかも見透かしたような目で。

何も知らないくせに分かったようなこと言わないでよ。

「……」

何も言わないまま、立ち止まっていた足でゆっくりと前に進んだ。

あんたには関係ないでしょう。

そう背中で呟きながら。なのに…。


「俺が守るよ。お前のこと」


「え…?」

不意に投げかけられた思いもしなかった言葉に再び足が止まった。


「だから、俺が守るって言ってんの。俺が君を守るよ」


“君を守るよ”

ねぇ、知ってる?
その言葉に、どれぐらいの意味があるのか。

あなたは、知っていてその言葉を言ってるの?


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