キミの心の声を聞かせて
鋭い瞳で睨まれた男子は、すぐにあたしの腕を放して逃げるように去っていった。

「大丈夫か?」


やっと解放された腕は、赤く所々青く内出血していた。


「大丈夫…それより、なんで?なんで助けてくれるの?」



まだ会ったばっかのあたしを…なんでこの人は守ってくれるの?


「言っただろう?俺がお前を守るって」
そう言ってニカッと笑った先輩の顔を見た瞬間、涙が溢れてきそうであたしは唇噛んで空を見上げた。


その時だった。


「先輩…。聞いてくださいよ。こうなったのは、彼女が悪いんですよ」


先輩に近づき、優等生の顔で嘘を平気でついてくる高津洋子。

その高津洋子を冷めた目つきで「へぇ、これは全て彼女のせいだって言うの?」と聞くと


「はい。悪いのは全部中山さんのせいです」


悪びれる様子もなく言われた言葉に、とてつもない怒りを感じた。



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