キミの心の声を聞かせて

「あたしが?」

「うん。あたしが、男の子にいじめられてる時に「やめなさいよ!」って助けてくれたの」



確かに…幼稚園の頃のあたしって、弱い者いじめをする子が大嫌いだったから

何度かいじめられてる子がいたら、まるで男の子みたいに、いじめっ子と喧嘩したことあったっけ。

「そうだったんだってな。助けてくれてありがとうな」

「中山さん、男の子と戦ってカッコよかったよ」

ニコニコと、何年も前の事を嬉しそうに話す仲本さんと「お前、イイ奴だなぁ」と、あたしの頭をクシャと撫でる先輩。
「やめてって…」

こういうの慣れてないからなんか…照れくさいって…。


「あっ、智香。また顔、真っ赤になってるよ。照れてるだろう、お前ぇ~」


いつの間にか、あたしの事を“智樺”と呼んでる先輩を気にしながら


「仲本さん。ありがとう」


さっきよりも、もっと心の中がホッコリとあったかくなるのを感じながら


今、精一杯できる笑顔を仲本さんに向けた。



「うぅん」と嬉しそうに笑った仲本さんと、「よかったな」と笑う先輩の顔を

窓の向こうから差し込むあったかいオレンジ色の夕日が優しく染めた。




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