キミの心の声を聞かせて
「さてと、帰るか」
「うん、中山さんの荷物持ってきたよ」とあたしの鞄を見せてくれた仲本さんに「ありがとう」と言うと
先輩から、送るよと言われて「いいって」言うあたしの言葉を制して「黙って言うこと聞け」そう言った先輩が、あたしの方に手を伸ばした。
「えっ?」と戸惑ってると
「つかまれって、まだ体、重いだろう?」
ニカッと微笑みを向けられた。
その差し出された大きな手のひらが、凄くあったかくて、優しく感じて…。
「ほら」と早く握れと言わんばかりに差し出されたままの大きな手のひらに
吸い込まれるように手を伸ばして
その大きな手のひらにゆっくりと触れると
ギュッと優しく握りしめられた。
トクントクンと胸高鳴る鼓動。あたしの心臓、どうしちゃったのよ?
「起きれるか?」
ソッとあたしの体を引き寄せながら、もう片方の手は、背中に優しく回された。
目の前には、制服の第一ボタンが外れた先輩の首筋。
近すぎる距離に戸惑い、また赤く染まる頬を隠すように俯いて
「ありがとう」
ボソッと呟き、ベッドから体を起こすと
クラッと立ちくらみが襲ってきて
「ほら、しっかり掴まれ」と先輩の鍛えられた腕が、あたしの体を倒れないようにしっかり支えた。