キミの心の声を聞かせて

「中山さん…」


仲本さんの、鼻水混じり声が聞こえてきたけど


不覚にも、不覚にも泣き出してしまった自分が恥ずかしくて


先輩の背中にしがみついたまま


涙は止めどなく溢れて…止まることはなかった。


あたしがようやく泣き止んで学校を後にする頃には、外は真っ暗で所々にある街灯が辺りを照らしていた。

そしてまだ、あたしは先輩の背中にしがみついたまま。

「もう大丈夫ですから下ろしてください」

「いいから黙って乗ってろ」

このやり取り、これで5回目だ…。


ハァ…とため息をこぼすと

「じゃあ、あたしはこっちだから」


明るい声で校門を出てすぐの曲がり角へと歩いていく仲本さん。


「えっ!?1人じゃ危ないよ、先輩送ってあげてよ」


あたしがそう言うと


「大丈夫だよ。美紀の家ってそこだから」

と先輩が指を指した方角にある二階建ての真っ白な外壁の一戸建ての玄関前で

大きくバイバイと手を振る仲本さん。

「家、あそこなんだ」

「そう。だから心配ないって言っただろう」


先輩の言葉に安心して手を振ると、嬉しそうに手を振り替えしてくれた。



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