キミの心の声を聞かせて
家の玄関の中に消えていく仲本さんの姿を見送ると
「んじゃ、俺達も帰るか」
先輩が歩き始めた。
「えっ!?このまま!?」
「当たり前だろう。大人しくしてろって」
そんなこと言われても、やっぱり恥ずかしいよ。
「家、どっち?」
「あっちです…けど、先輩は?先輩の家、遠くなるんじゃないんですか?」
これ以上、迷惑かけれないよ。
そう思って、先輩の背中から下りようとすると
「大丈夫。俺の家も智樺と同じあっちだから」
あたしの家がある方角を指差して歩きだした。
仕方なく、このまま先輩の背中にしがみついく事に決めたあたし。
「よろしくお願いします」
諦めてそう言うと「おっ、素直でいいね」と先輩は、満足そうに言うと
あたしをおぶったまま歩き始めた。