キミの心の声を聞かせて
「あっ、先輩。ここです、あたしの家」
見慣れた二階建ての一戸建てを指差した。
「へぇ、智樺ん家ここなんだ」
「はい」
特に綺麗なわけでもない普通の家。誰かにこうして家を教える事がなかったから
恥ずかしさを感じていた。
「いい家じゃん」
なんて言われて「ありがとう」と呟いた。
「んじゃ、俺ここで」
またなと右手をヒラヒラさせて帰る先輩に
ペコリと頭を下げてお礼を言うと「またな」とニカっと笑った。
少しずつ小さくなっていく先輩の背中を見送っていると
急に立ち止まり、ポケットから何かを取り出して何かをし始めたあと、振り返ると駆け出しこっちに戻ってきた。
不思議に思い見ていたら
「これ!返すの忘れてた」
そう言って右手に握られていたのは、まだ返してもらってなかった携帯だった。