キミの心の声を聞かせて

「ハァ…」と深いため息が漏れた。


『まぁまぁ。それより、明日待ってるからな』


「はい?待ってるって何を?」


『軽音部の部室で待ってるから』


あっ…その事ね。

余りの先輩のしつこさに、思わずクスッと笑みがこぼれた。


『いいなぁ、言っただろう?俺、諦めないってだから…「分かりました」』



『はぁ?今、なんて言った?』


「だから…分かりました。やりますよボーカル」


先輩には、参ったよ、もう「やらせていただきます」と言うと



『ホントかぁー!?ホントだからなぁー!!』


まるで子供みたいな声を上げて喜んでいる。


「はい。ホントです」


『ありがとう!!じゃあ、明日絶対来いよ!!』


そう言って切れた電話。


ボタンを押してベッドにポスンとうつ伏せになる。


先輩から言われた“ありがとう”の嬉しそうな声が頭の中でグルグル回って


言葉では表せない幸せな気分に包まれた。




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