キミの心の声を聞かせて

だから、仲本さんとは教室では必要最低限話さないようにした。



変に話しかけて仲本さんが誰かに何かを言われる事を恐れたから。


昨日の今日だし。

もしも仲本さんが先輩を呼んできた事がバレたら

それこそ今度は仲本さんがイジメのターゲットにされてしまう。

それだけは、絶対に避けなきゃ。


負の連鎖が断ち切れるまで、あたしは用心深くクラスメートの様子を見ることにした。

この事、後で仲本さんに話せたらいいな。


休み時間も昼休みも、特別目立った様子はない。

とりあえず、何事もなく1日は過ぎていき放課後になった。


ほとんど誰もいなくなった教室。

仲本さんがゆっくりとあたしに近づいてきた


「中山さん、手出して」

そう言われて「うん」と手を出すと


「はい、これ。あげる」


何かを手渡すと、仲本さんは「じゃあ、またね」と手をヒラヒラさせて帰っていった。


ゆっくりと手のひらを広げてみると小さな可愛い四つ葉のクローバーのイラストが描かれたメモ紙に


『これ、あたしの携帯の番号とメアド。後でメールして♪
またね』


綺麗な文字が心の中をホッコリあったかくした。



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