えがおのしずく。
そのときだった。

雪先生の両手があたしの頬包んだ。

多岐君と同じように…


「ほら、泣かない。未来ちゃんには笑顔が一番似合うんだから。ね?」


あたしは泣き続ける。


「んーとりあえず、涙ふこ。タオル持ってくるからちょっと待ってて。」


そう言ってあたしの頬から両手を離そうとした。

そのとき、あたしは雪先生の手首をつかんだ。


「このままがいい…」


あたしは初めて雪先生にわがままを言った。

今までは子供に見られるのが嫌でできなかったわがまま。

でも今日だけは子供に見られてもいい。

もう少しこのままでいさせて…
< 339 / 411 >

この作品をシェア

pagetop