えがおのしずく。
ガン……

後ろで物音が聞こえた。

振り返ってみると、そこには多岐君がいた。

数秒間目が合い、変な空気が流れる。

多岐君はすたすた歩き出し、席に座った。


「あの…多岐君…」


多岐君はあたしのことは気にせず、机の中にある教科書をかばんの中に入れ始める。

なんだか怖い…

でもこれは本当の多岐君じゃないことくらい分かってる。

あたしのためにしていることだって分かってる。

多岐君はずっごく優しいって分かってる…

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