えがおのしずく。
「多岐君、何も言わなくていいから聞いて…」


あたしは勇気を出して話し始めた。

相変わらず多岐君は何もしゃべらず、かばんに荷物を詰め込む。


「あたし…雪先生に告白するから。」


一瞬多岐君の動きが止まる。


「卒業式の日に告白するから…」


多岐君は何も言わずに席を立つ。

教室に入ってきたときと同じように教室を出て行く。
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