えがおのしずく。
「多岐君…!」


気づくと多岐君の名前を叫んでいた。

多岐君はドアの前で足を止める。


「多岐君…あたし…」

「未来…」


言葉にかぶせてあたしの名前を呼んだ。

そして振り向かずに一言。


「…頑張れよ。」


そう言い、また歩き始める。

多岐君からのその一言は、他のどんな言葉より嬉しくて重い…

多岐君の気持ちを知っているからそう感じた。
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