Spirit of Dragon~断罪の炎編~
スキのない攻撃と言えばそうなのだが、短い印に短い詠唱では小技しか撃てない。
 
 
ここは一つ多少なり複雑な印を結び強い印魔術を使うか、高位の精霊に干渉する呪文を唱えるか、印と呪文を二つ使用する黒魔術の上級魔法でどうにかするしかなさそうだ。
 
 
契約を交わした助っ人を召喚させれば二対二と数は平等になるのだが、召喚魔術は使えないみたいだし。
 
 
…………チッ。
 
 
一体片付けといてやるか。俺って優しッ。
 
 
「おぉぉぉぉああありゃああああああ!!!!!」
 
 
大剣を片手で持ち、ニイナの背後にまわろうとしていたスキュラに向かって勢いよく投げつけた。
 
 
回転する大剣は見事スキュラを捉え、そのままの勢いでスキュラを後ろにあった大木に磔にする。
 
 
我ながらなんと素晴らしい命中率か。
 
 
ニイナも遠くのほうで俺にむかって何やら言っている。
 
 
よし、アフレコをつけてみよう。
 
 
剣を指さしたり手をぶんぶん振ったりしている。
 
ふむふむ……『剣を』ふむふむ……『投げてくれてありがとう』
 
 
だよね。あ、でももうめんどくさいからアフレコやめよっと。
 
 
一対一になったとたん形勢が良くなったのか、ニイナが押し始めた。
 
 
スキュラの攻撃はそれはもうおぞましく醜悪にて陰険かつ悪趣味だ。
 
 
ニイナはそれを巧みに躱していたけどね。
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