Spirit of Dragon~断罪の炎編~
すでに息絶えているのを確認し、木に突き刺さったままだった大剣を引き抜いた。
 
 
今思ったけど、ニイナのジークフレアがこの剣に当たってたらどうなっていたんだろう……やれやれ。ま、火に耐性のあるヴァルハイドの素材だから大丈夫だろうけど。
 
 
あ、瞬殺してしまったけど、スキュラってのは実際戦ってみると強いんだぜ?
 
 
太古の昔から存在しているこのグーテの森のようなところはそれだけで高位のモンスターがうじゃうじゃしている。
 
 
その中でポッと出のゴブリンやコボルトとは違い、昔からの食物連鎖で現在まで勝ち抜いてきたモンスター。
 
 
頂点に君臨している天空龍ヴァルハイドをはじめ、そういったモンスターに並の兵士がいく束でかかったところで倒せる相手ではない。
 
 
スキュラを倒したニイナはかなりの魔道士だと言えるだろう。
 
 
剣にべっとりとついた赤黒い血をそばにあった木の根にこすりつける。
 
 
瘴氣に満ちたこの森の植物達は通常より貪食なためすぐさまその血をすすった。
 
 
「……気味わるっ」
 
 
ニイナがぽつりと呟くように言った。右手で左の肩をさすっている。
 
 
「気味のイイもんとかはこの森には皆無だな。つか……どした?」
 
「寒い……」
 
「あぁ、瘴氣のせいだろうな。慣れてないうちは悪寒がしたり汗が出たり」
 
「うぅ~~!!」
 
 
相当寒いのか、目を閉じて唇や体を小刻みに震わせている。
 
 
「はいはい、早いとこ帰りますか」
 
 
硬直したままのニイナをデノホーンが倒れている場所まで手をひいてやった。
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