Spirit of Dragon～断罪の炎編～

ヴァルハイドの強さを知っててなおかつ戦いを挑む……か。
　
　
店内や店の外に彼女の仲間がいるわけでもない事からピンでここに来たわけか。
　
　
そこまでして倒したいか？普通。おそらく、考えられる理由は―――私怨。
　
　
「気乗りはしないが、なんでヴァルハイドをそんなに倒したいか答えてくれないか？」
　
「それは……」
　
　
そう言うと彼女は俯き、しばらく黙っていた。が、やがてぽつりぽつりと話を始めた。
　
　
「そうですよね。襲われた街の一つ、ソラリス・タウンはあたしが育った場所なんです」
　
「一番始めに被害があったとこだったっけか？」
　
　
彼女は小さく頷き、話を続けた。
　
　
話の内容はやはり俺の予想通り家族が巻き添えにあった私怨の事だった。
　
　
俺はただ黙ってその話を聞いていた。
　
　
話は二時間近く続き、その間に彼女は何度も嗚咽をもらし、何度も話が中断されたがなんとか続けた。