一匹狼と天然子羊
「余程僕に君を取られたくないみたいだね。僕に見せつけるようにキスしてたし」
「えっ、見せつける?」
「僕の存在に気付いてたみたいだからね。まぁライバルがいた方が恋は燃えるって言うし。ねぇ如月さん。あんな奴止めて、僕と付き合わない?」
その言い方に、私はカチンっときた。
「弘人くんはあんな奴じゃないっ!確かに口は悪いし、意地悪だけど、弘人くんは優しい人です!貴方が人を見下すような人だと思わなかった。私は貴方とは付き合わない!どんなことがあろうと、私は弘人くんから離れる気はないっ!」
そこまでいい終えて、私は自分が言ったことに気付いて赤面した。
「ふふ、そんなにアイツが良いんだっ。まぁ良いや、今日はこのぐらいにしといてあげる。でも今僕に言ったこと、後悔しないでね?」
そう言うと慧くんはニヤリと笑い、私の横を通り過ぎていった。
私は余程緊張してたのだろう。
慧くんが出ていったのを耳で確認すると、パタリと私はその場に座り込んでしまった。