一匹狼と天然子羊
「弘人くんどうしたの?」
「あ、あのさっ、す、す」
「す?」
「す、すまんっ。この前はその……」
こんなこと言いてぇんじゃねぇって分かってんのに、恥ずかしくてつい違うことを言ってしまう。
「別にいいよっ、もう気にしてないから」
「そっか……」
「うん……」
気まずい空気になる。
「あのさ、そのす、好きなんだっ」
「えっ?何が?」
「お前が、如月芽衣が好きなんだっ!」
「そうなんだ……」
「……はっ?」
如月の返事に驚いて、間抜けな声を出してしまった。